やまとなでしこ

龍馬、お田鶴さま、お徳の出来事

 

 

お田鶴さまと一夜を過ごす予定が

長次朗や以蔵たちの策に乗せられ

美少女お徳と夢の中へ溺れゆく

 

 

龍馬と一夜を共にしたことで余生を安楽に過ごせたお徳

 

 

近所の若衆たちに全てお見通しだった。

女正月に龍馬を誘ったお田鶴さまだ。

その時代の高知の様子が良く解る。

 

 

若衆達の真摯で滑稽な作戦

 

 

龍馬がお田鶴さまと一夜を共にすることを知り、それはいかんと長次朗が龍馬の行く先を操作する。

まさかお田鶴さまを夜這いに行くとは龍馬も言えず長次朗達の策に乗せられる。

なんと美人の噂のお徳のもとへと龍馬の行く先を操作する。

 

 

漢方医岩本里人の娘でその美しさで毎日、若侍が求婚に来る。

そのお徳は京阪見物の折り道頓堀で芝居を見ていて豪商鴻池善右衛門の目にとまった。

善右衛門は父親の里人を呼び、支度金二百両、娘と別れる為に八百両を出すという。

 

 

 

この大金に里人は目がくらんだ。

城下ではこの話で持ちきりであった。

御城下の若衆にすればこれが面白くない。

 

 

土佐の若衆に嫁ぐならいざ知らず金に目がくらんだ父娘。

「だれかがお徳を夜這え」と言うものがいた。

そこで龍馬に恩がある以蔵が「坂本の龍馬さんが良いんじゃないか」と言い出した。

 

 

そのタイミングとお田鶴さまとの約束が重なった。

お城下の若衆が企てた据え膳食わねば龍馬の恥とばかりに腹をくくる。

そしてお徳との一夜のアバンチュールというわけだ。

 

 

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鴻池に嫁いだお徳の栄枯盛衰

 

 

衣装も屋敷も豪華を極めた。

善右衛門は五十を過ぎて女房を亡くした男だ。

そう長くは生きられない。

 

 

ほどなく善右衛門は亡くなった。

その後、お徳の人生は数奇というものであった。

鴻池家から暇を出されたお徳は土佐に戻った。

 

 

縁あって水戸藩士野村信之に嫁ぎ明治になった。

夫は維新政府につかえて警察官となり、任地の土佐県で早世した。

お徳は子も無く九十七歳まで生きた。

 

 

晩年は、両親の生地であった土佐の中村町天神下の荒れ果てた家で一人住んでいた。

時にはその日の食事にも困るほどであった。

しかし、町の有志に昔話をし、話がたまたま龍馬のことになると、「龍馬さんですか、あれほど男らしい人は見たことがありません」と、若やいだと聞く。

 

 

 

中村町の宮司がこの噂を聞き、町中の有志を説き回ってお徳を共同で扶養することになった。

「たとえ一夜でも、坂本龍馬が想いをかけた女を捨ててはおけない」

この話は最も龍馬の人柄や偉大さを説明するものであると思う。

 

 

人のめぐり合わせとは不思議なものである

 

 

幕末維新の三傑と言われるのは

西郷隆盛、大久保利通、木戸孝允と言われるがこんな逸話が残っているだろうか?

今一度、国民投票をしてもらいたいと思う。

 

 

鴻池の豪富をもってしてもお徳の晩年の窮乏を救う何の足しにもならなかった。

しかし、龍馬に一夜愛されただけで、余生の最後を安楽に送ることが出来た。

これは司馬さんが竜馬を書く以前の話である。