登場人物伝

お田鶴さまや寝待ノ藤兵衛

 

 

ただ単に時系列に手紙や記録などを書き並べたら

そんな小説はあり得ないし誰も読んでくれない。

多くの人に夢中になって読んでもらえるように書く。

 

 

調べようのない空白に司馬さんは史実を創作した

 

 

司馬さんに龍馬を書いて欲しいと語った後輩は

そう、渡辺さんは龍馬に恋い焦がれるお田鶴さまに感動したと思う。

寝待ノ藤兵衛に至極納得したんじゃないかな。

 

 

想定内のキャストの必要性

 

 

調べようのない残されていない時間や人々を蘇らせる。

これが本当の司馬さんの仕事だったんだと思う。

仕事以上に使命にも似た過酷な創造ワークだったと思う。

 

 

 

分かっていることを書くなんて簡単なことだと思いませんか?

もう調べようもない過去の人物の空白時間を埋める作業は大変だ。

万巻の書を読んでいるからこそその中からヒントが生まれてくる。

 

 

 

実際はお田鶴さまに近い女性がいたんだと思う。

今も昔も泥棒は存在しているし時代劇には欠かせない。

歴史に残る英雄は確かに泥棒を家来に持つわけだし…

 

 

はじめて富士山を見た龍馬が感動するのは本当のことだとお思う。

それに感動しない寝待ノ藤兵衛も理解できるし

自分とは相反する生き方をはじめる男子に興味を持って当たり前である。

 

 

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お田鶴さま絶対に必要なキャラクターだ

 

 

土佐高知の大英雄を小説にするわけだから

土佐第一等の神秘的な美人が必要だ。

なかなかその姿を見ることもできない容色だ。

 

まるで巨大なパズルを組み立てるように

司馬さんは龍馬を組み立ててゆく。

読者はその言葉から映像を心に映し出す。

 

郷士が会うことも出来ないお田鶴さまに

龍馬は興味を持たれてゆく

なにより家老福岡宮内の妹でもある。

 

その福岡家と坂本家は上士郷士を越えた間柄でもあった。

だから当然、お田鶴さまも龍馬のことは宮内から

聞きおよんでいたわけである。

 

 

 

 

 

 

お田鶴さまの必要性と意味合い

 

 

女正月の語らいの中で竜馬とお田鶴さまは

添い遂げることの出来ない時代と社会に存在していた。

その世を回転させてゆく龍馬なのである。

 

 

天子様を頂点にして誰もが平等な時代を切り開いてゆく

それが龍馬の使命でもあったわけだ。

坂崎紫瀾や板垣退助が龍馬の死後、追い求めた。

 

 

そう、自由民権運動の先駆けが龍馬なのである。

だからこそその物語には多くの女性が必要だった。

自由民権運動の到達すべき第一段階は身分だけではない。

 

 

女性の地位向上であり、教育や参政権も女性にもたらすことなのだ。

そんな世の中を生み出すために龍馬は船に憧れ、世直しをする。

板垣退助が晩年、死の病床で龍馬の血すじの方がお見舞いに来られた時

 

 

 

病床から跳ね起き、「今日の板垣退助があるのは坂本先生のお陰である」

と語られたと言われているわけだ。

そういうところまで絹糸を縫い合わせ司馬さんは物語を紡いでいた。

 

 

そう考えるのは私だけであろうか?