司馬遼太郎さんの本で最も発行部数が多い作品は『竜馬がゆく』である。
2017年11月25日第41刷 株式会社文藝春秋文庫本が手元にある。
その帯に総発行部数2500万部の国民的名作と書かれている。
龍馬が司馬遼太郎を一等の歴史小説家とした
次に多い作品は『坂の上の雲』であり2000万部を超えたところだ。
龍馬のキャラクターが司馬さんの文章に魔法のエッセンスをふりかけた。
その小説は日本男子のあるべき姿を強く印象づけている。
大正生まれで戦争を知る司馬遼太郎
現代人に与えられた坂本龍馬のイメージは司馬さんが印象付けたものであると言われる。
でもそれは全く違っていて坂本龍馬が司馬さんを世に知らしめたと言うのが本当の因果関係ではないでしょうか。
お互いの相乗効果として共に国民に広く受け入れられたんだなと思います。
『竜馬がゆく』は司馬さんが一番始めに書いた長編時代小説であり、氏はそのカテゴリーで第一人者となった。
そしてその後、『竜馬がゆく』を越える作品を書くことはできなかった。
これは坂本龍馬が司馬さんを日本一の長編時代小説家に押し上げたことの証左だと思う。
龍馬は何を成し遂げたのでしょうか
倒幕の実力を持ち犬猿の仲でもあった薩摩と長州を和睦仲介--薩長同盟
--船中八策--を土佐藩論とし倒幕戦を防ぎ慶喜に--大政奉還--を決断させた。
多くの血を流すことなく新政府の進むべき方向性を示唆した。
歴史上の--政治的龍馬ワーク--はこの点に集約される。
奇想奇策と多くの人を引き付ける飾らない性格で築いた人脈や
彼らから得た知識情報から時勢を見抜く眼力とずば抜けた行動力が魅力だ。
龍馬の素晴らしさは幅広いパイオニアワークであり、
胸突き八丁を過ぎたところで成功者の誉れを譲る、
驕ることない性格に人は引き付けられる。
龍馬の最大の功績
それは日本国の進むべき道や姿を示したことであり、日本男子は如何にあるべきかを
自身の行動をもって後世の歴史家に託し、多くの日本人にビッグな夢と希望を与えたことにつきる。
誰もが『竜馬がゆく』を読み終わると、胸を張って歩きたくなる。
司馬さんの凄いところ
歴史上の人物を題材にフィクションとして描き上げる。
それはそうだろう、会ったこともない人をノンフィクションで描けるわけがない。
しかし、その資料集めは神田の古本屋街から関連古書が皆無になるほどであったらしい。
はじめて『竜馬がゆく』を読んだのは高校1年の時です。
そしてそれから40年以上が過ぎた。
その間、何度『竜馬がゆく』を読み返しただろう。
今、改めて何度か読みなおした。
人生の要衝で『竜馬がゆく』に手が伸びる。
そして、己の苦悩が如何に些末かを確認した。